第204話 雨中行軍する<ライカで下北沢>(12.6.8)
第203話 「ザ・クレードル」のまぼろしを巡りながら(12.5.10)
第202話 『SONG NEVER SANG』を、今一度響かせたい(12.4.12)
第201話 人間の第七官に響くやうな詩を書いてやりませう。(12.3.27)
第200話 しみったれたノスタルジーから『あゆむ街』へ=『ウイ・インシスト!』(12.2.20)
第199話 瀬戸内に揺れる<邯鄲の夢>か『音戸の舟歌』(12.1.19)
第198話 蠅男は『紙風船』と朝日の中に昇天する(11.12.16)
第197話 キジムナ又はラッコと『あのころ』(11.11.16)
第196話 あの夜が今よみがえる『YUSAKU MUSIC NOTE』(11.10.12)
第195話 人の縁も軽口も、人生は『ブーメランのように』(11.9.9)
第194話 敗北した時は『見上げてごらん夜の星を』(11.8.10)
第193話 東京でいつか観た<ナシ族歌舞>と<東巴文字>(11.7.19)
第192話 『想いの届く日』をレコーディングしていた頃(11.6.10)
第191話 巨人の『怪談・牡丹灯籠』を下北沢で続ける(11.5.11)
第190話 『原爆許すまじ』の歌、歌えますか?(11.3.30)
第189話 聞こえるや、『十九の春』のうめき声。(11.3.30)
第188話 『般若心経』をゴラン高原に響かせてみたい(11.1.10)
第187話 満月を盃にくだきて、暫し、酔ひて勢えよ(11.1.10)
第186話 『ふるさと 』の青森に<木鶏>を尋ねる(10.12.3)
第185話 『言うなかれ、君よ、別れを』と言って、人は逝くのか(10.11.15)
第184話 <ヴァーチカル・ドラム>にシモキタが一ミリ動いた。(10.10.3)
第183話 あの頃『アムトラック・ブルース』が流れていたよ。(10.9.3)
第182話 「無悟」と「無垢」の違いが判らない。(10.8.3)
第181話 『夜のカフカ』のシナップス(10.7.3)
第180話 魑魅魍魎を哲学すると(10.5.15)
第179話 FLANEUR(ブラブラ歩き)は止まらない(10.4.30)
第178話 チンドン音楽の出番ですよ(10.4.12)
第177話 小判で面張る今様下北沢(10.3.5)
第176話 『茶々&ちび〜三角橋の猫の歌』流れる街をどうしようと?(10.2.10)
第175話 シューベルトの『あすなろ』を歌えと言われてみても(09.12.25)
第174話 日本人の笑顔と風のインプロビゼーション(09.12.25)
第173話 「世界はときどき美しい」と思いたい。 (09.10.6)
第172話 『雨が空から降れば』しょうがない不条理 (09.9.3)
第171話 『浅い眠り』の街下北沢にて候。(09.8.12)
第170話 『ラストワルツ』を踊り続けたいのだけれど(09.7.3)
第169話 「上海帰りのリル」はピカレスクの匂い(09.6.5)
第168話 『明日という字は明るい日と書く』のですか?(09.5.7)
第167話 「ヤマテピアノ」は旅の空を飛ぶ(09.4.3)
第166話 ジャンゴを聞きながら大分を巡る(09.3.7)
第165話 大川に紅涙流れて(09.1.30)
第164話 あなごは旨いが、逃した「明日の神話」はでかい(09.1.13)
第163話 『恨五百年』の音を幻聴する(08.12.4)
第162話 『椿姫・前奏曲』は春の訪れ悲恋の訪れ (08.11.10)
第161話 水の惑星で聞きたかった『セイレーン』の歌 (08.10.8)
第160話 『シネマアートン下北沢』の鳴動 (08.9.9)
第159話 三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい (08.8.1)
第158話 『いつかギラギラする日』にラスト・ダンスを (08.7.8)
第157話 今様『梁塵秘抄』に戯れて (08.5.2)
第156話 シモキタに江戸前の風が未だ吹いている。 (08.4.4)
第155話 『如露亦如雷』の響、海峡を渡る。 (08.3.1)
第154話 街のすきま風をジャズが塞いだ時代があった (08.2.8)
第153話 英哲の『若沖』で年は越してはみたが (07.12.28)
第152話 『さくらんぼの実る頃』は愛の悲しみ (07.12.11)
第151話 下北沢に『不死身の花』が咲くころ (07.11.05)
第150話 映画よ あれがシモキタの灯だ (07.10.15)
第149話 「ロンリー・ウーマン」はトリガーに指を掛けた (07.09.04)
第148話 P.グラスの鉱物的ミニマル交感 (07.08.03)
第147話 今から『風をあつめて』おくために (07.07.03)
第146話 『MASAЯA SCOPE』は土空火水を駆ける (07.06.02)
第145話 『ゲンズブール委員会』への招待状 (07.05.08)
第144話 CAVA BIEN?『MASARA』 (07.04.05)
第143話 ボリス・ヴィアン気取りの『北京の秋』から始まる (07.03.08)
第142話 〈美しい国〉から『七福神の歌』が聞こえる (07.02.01)
第141話 『井戸の茶碗』なる地縁血縁 (07.01.05)
第140話 歌っとくれよ「ゴンドラの唄」を (06.12.05)
第139話 正調『満月の夕』が浸みた。 (06.11.01)
第138話 沖縄―アイヌを結ぶ『シンクロニシティ』 (06.10.10)
第137話 『八月の種』の種撒き唄を歌って (06.08.31)
第136話 「檸檬」と『セントジェームス病院』と (06.08.02)
第135話 『諷誦文』の唱導をいつか聴く日 (06.07.13)
第134話 K・D・ラングの『カウガール・ブルース』 (06.06.15)
第133話 『国境の南』ーバハカリフォルニア (06.05.16)
第132話 朝日の中 下北『かもめ』は翔ぶ (06.04.13)
第131話 伝播する『花心』の基礎体温 (06.03.09)
第130話 『吾唯知足』の教えに行雲流水する (06.02.01)
第129話 新年を繋ぐ交感神経作用 (06.01.06)
第128話 『アルフェンティーナ』の月ヶ瀬幻視行 (05.12.05)
第127話 ミドリブタと歩く街流れる歌 (05.11.02)
第126話 昭和を記憶する『夢であいましょう』 (05.10.01)
第125話 『禁断の果実』を求めてジャズの茨の道へ (05.09.06)
第124話 色即是空と『グラナダ』食い合わせ (05.09.06)
第123話 『ラプソディ・イン・ブルー』の不意打ち、『草原情歌』の余韻 (05.07.05)
第122話 『何日君再来』を君と聴く日 (05.06.03)
第121話 『般若心経』を教科書で読む日 (05.05.10)
第120話 下北ノイズの生まれる街で (05.04.01)
第119話 『ホエン・アイ・ワズ・ヤング』は今歌えない (05.03.04)
第118話 ヴェトナム人が見る『ジョージア』の夢 (05.02.01)
第117話 『ゴジラ』の年からヒロシマの年へ (05.01.01)
過去コンテンツも徐々に掲載します。


大木雄高 おおきゆたか
1945年生まれ。大学時代から小劇団を組織し、60〜70年代の同時代演劇を、作・演出・役者として手がける。78年以降は定期ライブのほか、「下北沢音楽祭」、「松田優作追悼コンサート」等をプロデュース。下北沢"LADY JANE"オーナー。"音曲祝祭行"は"音曲祝祭考"としてアサヒグラフ誌に98年1月から6月まで計24回を連載していたものを、連載終了を期に装いも新たに自主制作版とWEB版で復活させたもの。



 

"音曲祝祭行"は下北沢"LADY JANE"にて月1回部数限定で発行しています。
 
 先月の5月4日、広島でショーロクラブの三人の奏者に六人の歌手が次々に歌う、『武満徹ソングブック』というコンサートを企画して行ってきた。広島カープが初優勝した1975年に何か記念のイヴェントをと考えて、77年から始めたフラワー・フェスティバルは、毎年ゴールデンウイークの三日間行われていて、今や広島一の祭りになっている。そんな最中に殴り込みを掛けに行ったような関係のないコンサートだった。『死んだ男の残したものは』はアン・サリーが歌った。おおたか静流が歌った『三月のうた』には企画者自らまた泣いた。
武満徹が作った昔の曲にもかかわらず、
予言のようにどうしても聞こえてしまうのだ。

 翌5月5日朝、圧倒的シェアーを誇る地方紙の中国新聞を手にとると、当日は社の百二十周年、4万2384号記念だったらしく、波瀾万丈の社歴が万感の思いで語られていて、特集の大見出しは「1945原爆と中国新聞」だった。言葉とは別個に紙面いっぱいに広がった瓦礫だけの広域写真を見ると、広島出身の俺には見慣れた光景ではあるが、改めて30万人の死が想念を襲う。津波と原発災害に見舞われた福島にヒロシマの視点から対面したキャンペーン「フクシマとヒロシマ」は、特に被害甚大だった「浜通り」地域の住民50人に話を聞いて一年が経ったという。しかし一方、本紙一面の大見出しは「F35売却総額8000億円」となっている。米の最新鋭ステルス戦闘機F35を配備しようと目論む日本政府は、42機の総額を8010億円と議会に報告したそうだ。防衛省は一機当たりの本体価格を89 億円と見積もっていて、単機本体価格は不明、差額分の経費用途も日本に知らされてない。縁側にやってきた富山の万金丹売りじゃあるまいし、“はいはい、分りました。おいくらですか?”と、パブロフの犬のように反応してしまうこんな国があるのかと思う。しかも経済困窮の今<フクシマ>を何と思っているのだろうか。
 <下北沢らしさ>を解体しつつある再開発に、異を唱えて立ち上げたイベント「シモキタヴォイス2011」が、3・11後の昨年八月に五年目を迎えて、<被爆からの『再生』、被曝からの『再生』、再開発からの『再生』>を掲げて、ヒロシマ・フクシマ・シモキタを一つのラインに結び、三者は原初的には同じ出何処だとして、<シモキタの死と再生>を問うた。
 2007年、前年の議会で「都市計画道路補助54号線」も「5400平方mの駅前広場(ロータリー)も強行議決の末事業認可が下りてしまって、住民の心がアナーキーに包まれていた時、<俺たちの文化>をやろうぜと立ち上げたのが第一回目だった。149号と重複するかも知れないが書く。
 7月14日は朝から小雨だった。その頃既に始まっていた街の変化に対して、消え行くシモキタの街並みをフィルムに焼き付けておこうと思った。写真家は荒木経惟に依頼して快諾を得た。写真自体のインパクト、社会に対するインパクト、イベントの中での写真展のやり易さ、シモキタに馴染みがあるなどが、白羽の矢を立てた理由だった。6月9日の第一日目の<ライカで下北沢>の路地行軍で主な個所は回っていたし、くっついてきた柄本佑と高良健吾の二人の若者に被写体で助けられた。二日目の小雨は思えばラッキーだった。雨に濡れたシモキタの路地の風情もなかなか良いし、一日目と比較化できると思い<ライカで下北沢>アラーキーの第二次行軍は出発した。
 路地行脚の水先案内人は俺だが、連れに傘をかざさせてスタスタ歩きズバズバ撮る。被写体を選ぶのに躊躇はない。身体が即応するインプロヴィゼーション・ジャズのようだった。荒木経惟の荒木経惟たるところだ。北口の通称闇市(駅前マーケット)に入る。
何たることだ、シモキタの街を象徴する

それでもしぶとく踏ん張っている魚介屋や乾物屋、スポーツ用品店、八百屋があった。朝から昼から夜から朝まで、つまり24時間やっている俺も馴染みの「美好し野」がラーメンをやっていると見れば、『何分で出来るか?そうか、すぐ作ってくれ』と言って、誰かに食べさせてそれを撮る。「腹が減った、休憩だ」といって中華の「新雪園」に入ると、竹中直人がいてそれを撮る。アラーキーは写真集にとりいれ、俺たちはポストカードにして売って写真展をやる。こんな街他にないよなとつくづく思うのだが。ね!
 
 




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