第224話 『麦打ち唄』の音曲をどう祝祭すれば良いのだろうか!(14.02.03)
第223話 蕎麦を巡る旅と『ハッシャ・バイ』(14.01.06)
第222話 『浜辺のソプラノ』も昭和歌謡山脈の夢の途中(13.12.01)
第221話 『花巻農学校精神歌』と『ヨイトマケの歌』を繋ぐ知恵の輪(13.11.01)
第220話 <時代>に生きてしまったら、もう変われない。(13.10.01)
第219話 原爆忌・昭和二十年生まれなり(13.09.01)
第218話 『人間の秘密』はつらい夜を過ごすために(13.08.08)
第217話 逢魔が時は夕方とは限らない(13.07.08)
第216話 花や鳥や風や月は謳い、では人は何を詠うのか(13.06.04)
第215話 『最後のニュース』のあなたとあなたとあなた(13.05.04)
第214話 西行に倣い、桜に葬られて(13.04.04)
第213話 『BEETLE』は止まり場を求めて(13.03.04)
第212話 2008年は「春のめざめ」だった(13.02.18)
第211話 『音戸の舟歌』で巳年を迎える(13.01.08)
第210話 歳末に<引かれもん小唄>を歌いたくはないが。(12.12.12)
第209話 『平家物語』の舞台は東北だった(12.11.12)
第208話 “宮さん、宮さん”を今さら歌えといわれても(12.10.12)
第207話 『朗読とジャズのシモキタ・ジャンクション』の馴れ初め(12.9.12)
第206話 今年の『シモキタヴォイス』も始まりは2007年だった(12.8.8)
第205話 昭和の歌『月がとっても青いから』>(12.7.8)
第204話 雨中行軍する<ライカで下北沢>(12.6.8)
第203話 「ザ・クレードル」のまぼろしを巡りながら(12.5.10)
第202話 『SONG NEVER SANG』を、今一度響かせたい(12.4.12)
第201話 人間の第七官に響くやうな詩を書いてやりませう。(12.3.27)
第200話 しみったれたノスタルジーから『あゆむ街』へ=『ウイ・インシスト!』(12.2.20)
第199話 瀬戸内に揺れる<邯鄲の夢>か『音戸の舟歌』(12.1.19)
第198話 蠅男は『紙風船』と朝日の中に昇天する(11.12.16)
第197話 キジムナ又はラッコと『あのころ』(11.11.16)
第196話 あの夜が今よみがえる『YUSAKU MUSIC NOTE』(11.10.12)
第195話 人の縁も軽口も、人生は『ブーメランのように』(11.9.9)
第194話 敗北した時は『見上げてごらん夜の星を』(11.8.10)
第193話 東京でいつか観た<ナシ族歌舞>と<東巴文字>(11.7.19)
第192話 『想いの届く日』をレコーディングしていた頃(11.6.10)
第191話 巨人の『怪談・牡丹灯籠』を下北沢で続ける(11.5.11)
第190話 『原爆許すまじ』の歌、歌えますか?(11.3.30)
第189話 聞こえるや、『十九の春』のうめき声。(11.3.30)
第188話 『般若心経』をゴラン高原に響かせてみたい(11.1.10)
第187話 満月を盃にくだきて、暫し、酔ひて勢えよ(11.1.10)
第186話 『ふるさと 』の青森に<木鶏>を尋ねる(10.12.3)
第185話 『言うなかれ、君よ、別れを』と言って、人は逝くのか(10.11.15)
第184話 <ヴァーチカル・ドラム>にシモキタが一ミリ動いた。(10.10.3)
第183話 あの頃『アムトラック・ブルース』が流れていたよ。(10.9.3)
第182話 「無悟」と「無垢」の違いが判らない。(10.8.3)
第181話 『夜のカフカ』のシナップス(10.7.3)
第180話 魑魅魍魎を哲学すると(10.5.15)
第179話 FLANEUR(ブラブラ歩き)は止まらない(10.4.30)
第178話 チンドン音楽の出番ですよ(10.4.12)
第177話 小判で面張る今様下北沢(10.3.5)
第176話 『茶々&ちび〜三角橋の猫の歌』流れる街をどうしようと?(10.2.10)
第175話 シューベルトの『あすなろ』を歌えと言われてみても(09.12.25)
第174話 日本人の笑顔と風のインプロビゼーション(09.12.25)
第173話 「世界はときどき美しい」と思いたい。 (09.10.6)
第172話 『雨が空から降れば』しょうがない不条理 (09.9.3)
第171話 『浅い眠り』の街下北沢にて候。(09.8.12)
第170話 『ラストワルツ』を踊り続けたいのだけれど(09.7.3)
第169話 「上海帰りのリル」はピカレスクの匂い(09.6.5)
第168話 『明日という字は明るい日と書く』のですか?(09.5.7)
第167話 「ヤマテピアノ」は旅の空を飛ぶ(09.4.3)
第166話 ジャンゴを聞きながら大分を巡る(09.3.7)
第165話 大川に紅涙流れて(09.1.30)
第164話 あなごは旨いが、逃した「明日の神話」はでかい(09.1.13)
第163話 『恨五百年』の音を幻聴する(08.12.4)
第162話 『椿姫・前奏曲』は春の訪れ悲恋の訪れ (08.11.10)
第161話 水の惑星で聞きたかった『セイレーン』の歌 (08.10.8)
第160話 『シネマアートン下北沢』の鳴動 (08.9.9)
第159話 三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい (08.8.1)
第158話 『いつかギラギラする日』にラスト・ダンスを (08.7.8)
第157話 今様『梁塵秘抄』に戯れて (08.5.2)
第156話 シモキタに江戸前の風が未だ吹いている。 (08.4.4)
第155話 『如露亦如雷』の響、海峡を渡る。 (08.3.1)
第154話 街のすきま風をジャズが塞いだ時代があった (08.2.8)
第153話 英哲の『若沖』で年は越してはみたが (07.12.28)
第152話 『さくらんぼの実る頃』は愛の悲しみ (07.12.11)
第151話 下北沢に『不死身の花』が咲くころ (07.11.05)
第150話 映画よ あれがシモキタの灯だ (07.10.15)
第149話 「ロンリー・ウーマン」はトリガーに指を掛けた (07.09.04)
第148話 P.グラスの鉱物的ミニマル交感 (07.08.03)
第147話 今から『風をあつめて』おくために (07.07.03)
第146話 『MASAЯA SCOPE』は土空火水を駆ける (07.06.02)
第145話 『ゲンズブール委員会』への招待状 (07.05.08)
第144話 CAVA BIEN?『MASARA』 (07.04.05)
第143話 ボリス・ヴィアン気取りの『北京の秋』から始まる (07.03.08)
第142話 〈美しい国〉から『七福神の歌』が聞こえる (07.02.01)
第141話 『井戸の茶碗』なる地縁血縁 (07.01.05)
第140話 歌っとくれよ「ゴンドラの唄」を (06.12.05)
第139話 正調『満月の夕』が浸みた。 (06.11.01)
第138話 沖縄―アイヌを結ぶ『シンクロニシティ』 (06.10.10)
第137話 『八月の種』の種撒き唄を歌って (06.08.31)
第136話 「檸檬」と『セントジェームス病院』と (06.08.02)
第135話 『諷誦文』の唱導をいつか聴く日 (06.07.13)
第134話 K・D・ラングの『カウガール・ブルース』 (06.06.15)
第133話 『国境の南』ーバハカリフォルニア (06.05.16)
第132話 朝日の中 下北『かもめ』は翔ぶ (06.04.13)
第131話 伝播する『花心』の基礎体温 (06.03.09)
第130話 『吾唯知足』の教えに行雲流水する (06.02.01)
第129話 新年を繋ぐ交感神経作用 (06.01.06)
第128話 『アルフェンティーナ』の月ヶ瀬幻視行 (05.12.05)
第127話 ミドリブタと歩く街流れる歌 (05.11.02)
第126話 昭和を記憶する『夢であいましょう』 (05.10.01)
第125話 『禁断の果実』を求めてジャズの茨の道へ (05.09.06)
第124話 色即是空と『グラナダ』食い合わせ (05.09.06)
第123話 『ラプソディ・イン・ブルー』の不意打ち、『草原情歌』の余韻 (05.07.05)
第122話 『何日君再来』を君と聴く日 (05.06.03)
第121話 『般若心経』を教科書で読む日 (05.05.10)
第120話 下北ノイズの生まれる街で (05.04.01)
第119話 『ホエン・アイ・ワズ・ヤング』は今歌えない (05.03.04)
第118話 ヴェトナム人が見る『ジョージア』の夢 (05.02.01)
第117話 『ゴジラ』の年からヒロシマの年へ (05.01.01)
過去コンテンツも徐々に掲載します。


大木雄高 おおきゆたか
1945年生まれ。大学時代から小劇団を組織し、60〜70年代の同時代演劇を、作・演出・役者として手がける。78年以降は定期ライブのほか、「下北沢音楽祭」、「松田優作追悼コンサート」等をプロデュース。下北沢"LADY JANE"オーナー。"音曲祝祭行"は"音曲祝祭考"としてアサヒグラフ誌に98年1月から6月まで計24回を連載していたものを、連載終了を期に装いも新たに自主制作版とWEB版で復活させたもの。



 

"音曲祝祭行"は下北沢"LADY JANE"にて月1回部数限定で発行しています。
 
 今日1月30日、新年を迎えて初めて書く号になる。1月6日に那覇に住む古い友から遅い年賀状がきた。形ばかりの<迎春>とはあったが、冒頭「島中が怒りの正月を過ごしました。」とあった。日本政府がどういう企みを働きかけたのか知らないが、昨年末の仲井真沖縄県知事の、普天間基地の名護市辺野古への移設承認の電撃発表があったばかりだったから、その思いはすぐ理解した。すると、19日の名護市長選で移設反対派の稲嶺進が再選を果たすと、安部政権は500億円の「名護振興基金」をちらつかせて、金で県民の横っ面をはたこうとしている。沖縄は生涯激動を強いられている。
 一週間後には東京都知事選が控えているが、前知事時代の昨年に2020年開催が決まった東京オリンピックを見直そうという候補者は見当たらず、<天下分け目の一大決戦>等と言われても困ってしまう。反原発脱原発を主張する候補者はいても、六年先の東京オリンピックの影響は、縮小化する<復興作業>に更に追い討ちをかけるように、フクシマから大型ダンプカーや作業員を東京に引き上げさせているのが現状だ。フクシマを見捨ててオリンピックに浮かれろということだ。およそ治世などあってない。総てが経済を優先させて、部分としての人や村や財産を全体のために切り棄てる政治は、今に始まったことではない。百年以上前からあった棄民や棄村の話がある。
 1月18日、25日に前編後編とNHKドラマ『足尾から来た女』が放送された。明治時代、栃木県の足尾銅山から流れ出る鉱毒が、稲を枯らし魚を死滅させた。村人は健康を害した。村出身の国会議員だった田中正造は、1901年、議員を辞職しても天皇に直訴して戦い、二千人以上いた谷中村が最後には16戸になるまで鼓舞し続けた、近代初の鉱毒事件を背景にしている。鉱毒の被害に苦しむ谷中村のサチ(尾野真千子)は字が読めないが、田中正造(柄本明)の口利きで、東京で女性運動家のもとで成長してからは、谷中村に戻って村人として闘う物語りになっている。脚本は俺の好きな池端俊作だったが、東京で出会った石川啄木にサチが恋するなどの話は鼻白むけど、左翼の側から条件交渉を提案する幸徳秋水や堺利彦に、「銅山閉鎖しか村を救う道はない」と拒絶する田中正造の姿勢に本物と人間を見る。富国強兵の日本が日清日露の戦争の弾薬製造に、足尾銅山を国家庇護して谷中村を水没させた事実は、フクシマを連想させて、ヒロシマ、ナガサキを、今住んでいる再開発下のシモキタを連鎖させている。
 俺の生まれは疎開先の旧・栃木県安蘇郡田沼町(現・佐野市田沼町)という山と川の町だ。昭和20年の敗戦前に生まれて、小学一年の中途に代々先祖の地だった広島に連れていかれて広島人にさせられた。上京した一九六四年の東京オリンピックの年から30年経った1994年の夏、何を思ったか十歳の娘真琴を連れて栃木の川を訪ねた。一番東北の那珂川から始まり、益子町を流れる小貝川、温泉郷へと続く鬼怒川、宇都宮中心部を流れる田川、寂れた小山遊園地を流れる思川、栃木市の廻船を繁盛させた巴波川、故郷の田沼から佐野を抜ける西の秋山川で歩を止めた。
あの足尾はもっと西の足利や
田沼の北に位置する山岳地だ。
そうだよな、板橋文夫よ!

那珂川以外総て南下して渡良瀬川に合流するのだが、思川と巴波川が渡良瀬川と合流する地点がある。そこが人工池に沈んだ元谷中村だ。この渡良瀬遊水池は洪水調整をする貯水池だと、管轄の国交省は規定するが、百年経った現在も、上流から流れてくる鉱毒は減っていても、土壌には沈殿した鉱毒物質が多く含まれているという。ところが、2012年7月、ラムサール条約に登録された東西六キロ、南北九キロの栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県にまたがる巨大な湿地は、山手線の半分以上ある大きさで、千種の植物、二百五十種の野鳥始め、昆虫や魚の宝庫として認知されているから複雑な自然の脅威を感じる。本州一のヨシ原は春になるとヨシ焼がある。ヨシ原に棲む多くの野鳥が炙られて飛び立つのだが、とりわけ、絶滅危惧種のチュウヒが、広大な火の海の上空を羽ばたく光景には絶句させられる。
 すると、
♪踏まれながらに 頭をあげてよ 人の肩越す 麦の丈よ♪
池の底から聴こえてくる
『麦打ち唄』は幻聴なのだろうか?



 
 




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